前置き
part35の、Pの発言。
これについて、「Pがタワーの方が遅いと言っているのは、実際にそうなのか」と友達に聞かれたので、いちおう、思うところを書いてみます。
part35の、Pの発言。
これについて、「Pがタワーの方が遅いと言っているのは、実際にそうなのか」と友達に聞かれたので、いちおう、思うところを書いてみます。
この場面のPの話は、かなり説明を省いているように感じました。
(たぶん、1から10まで説明すると動画が長くなるので、10だけ説明している感じかなと想像しております)
そこで、最初に触れておきたいのは、このグラフの「長さ」のことです。
画面を見る限りでは、「2連鎖」と「多連鎖」で、致死連鎖を完成する速度が「同時」になっているように見えます。
もしも仮に、グラフの長さが同じであることを重視するとしたら、Pの話は、次のような内容だと解釈されます。
つまり、「スタートから連鎖終了までの平均速度がほぼ同じになる2者の比較では、タワーのほうが発火が遅い」と述べているという解釈です。
ただ、この論には、あまり意味がないように思えます。
というのも、「スタートから連鎖終了までの平均速度がほぼ同じになる2者」で比較する意味が不明瞭だからです。
上記のように解釈した場合、Pの論には誤りがある(結論そのものは正しいかもしれないが、前提が間違っているか、前提と結論のつながりが間違っている)ように思います。
……というわけで、たぶん、このグラフの長さに、そこまでの意図はないと思います。
グラフのどちらかが少し長いとしても、この話にはほとんど影響しないので、簡略化して同じ長さに書いている……というとらえ方で良いと思います。
(もしも片方を長くしてしまうと、タワーと連鎖の優劣を付けるようになるので、それを避けたのかもしれません)
ということで、以下、グラフの長さが同じことには特に意味はない……という方向で進めてみます。
すると、ちょっと拡大解釈になってしまうのですが、ここでPが述べているのは……。
「タワーはただでさえ消えるのが早くて有利なのに、発火自体もタワーのほうが早いっていうなら、いくらなんでもタワー強すぎじゃん。さすがに発火はタワーのが遅いでしょ」
……みたいな話だと、解釈できないこともなくなくないと思います。
ここで少し、Bぷよの実戦のデータを見てみます。
今年6月に観戦させていただいた、雨宮プロ(タワー)と電気イルカさん(多連鎖)の2回の野試合から、致死のタワーと多連鎖の打ち合いになった39本だけを見てみると、次のような結果になりました。
連鎖開始が 早かった回数 |
連鎖終了までの 逆転の回数 |
連鎖終了が 早かった回数 |
勝った回数 | |
タワー | 6回 | 17回 | 23回 | 23回 |
多連鎖 | 33回 | 16回 | 16回 |
8割以上の局面では、発火は多連鎖のほうが早かったです。
しかし、そのうちの半分ほどはタワーに追い抜かれてしまい、結局、最終的な勝敗は逆転されてしまっています。
それから、この39本のうちで「ちゃんと発火できたケースだけに限った平均速度」を見ると……。
ちゃんと発火できた回数 | ちゃんと発火できた場合の 連鎖開始時間の平均 |
ちゃんと発火できた場合の 連鎖終了時間の平均 |
|
タワー | 25回 | 14.8秒 | 17.9秒 |
多連鎖 | 36回 | 12.9秒 | 19.4秒 |
「ちゃんと発火できたケースだけに限った平均速度」という数字なので、かなり限定的な比較にしか使えないのですが……。
とりあえず、この39本に限って言えば、タワーのほうが発火が遅かったと言ってよいでしょう。
それから、そもそも今回は「雪歩の潰しに対して、致死連鎖を返してやる」というミッションの話なのですが……。
11秒以内に 発火した回数 |
12秒以内に 発火した回数 |
13秒以内に 発火した回数 |
14秒以内に 発火した回数 |
|
タワー | 0回 | 0回 | 5回 | 9回 |
多連鎖 | 5回 | 11回 | 18回 | 28回 |
仮に、「雪歩の潰しが12秒で飛んでくる」と仮定すれば、この39本に限ると、タワーで致死を返せるのは0~5回程度なのに、連鎖なら11~18回。
この39本に限って言えば、今回のミッションには、タワーよりも多連鎖のほうが「相性」が良さそうに思えます。
もちろん、ちゃんとした結論を出すにはデータ量が少なすぎますし、けっこう色々なことを無視しています。
ただ、かなり極端な差が出ているので、「もっと厳密に調べたら、これと全然違う結果になる」ということは、あまりなさそうな気はしております(いい加減で申し訳ないですけど)。
さて、雨宮さんたちはトップクラスのプレイヤーなので、Cランクくらいのプレイヤーでも見てみたいと思います。
というわけで、私(たわー勢)とKIIGAさん(主に千早式)の最近の対戦8試合(計125本)のうち、タワーと多連鎖の勝負っぽくなった67本を見てみると……。
連鎖開始が 早かった回数 |
連鎖終了までの 逆転の回数 |
連鎖終了が 早かった回数 |
|
タワー | 20回 | 14回 | 34回 |
多連鎖 | 47回 | 33回 |
いちおう、この8試合は、タワー側(私)の7勝1敗。勝ち星のトータルは73-52(10先でタワー側が8割近く勝つ感じ)で、つまり全体としてはタワー側が良いのですが、それでもやはり、「連鎖開始はタワーのほうが遅い」ようです。
かなり蛇足になるのですが、このうちの1試合でKIIGAさんが素晴らしい集中力を見せて、10手5連鎖・11手5連鎖×2・12手5連鎖・13手5連鎖×3・14手5連鎖×2・14手2連鎖クアで、私は3-10でボッコボコにされました(平均発火速度12.1秒程度)。
それで、もしもその1試合を除いた7試合(タワー側が勝った7試合だけ)の結果にすると、次のような表になります。
連鎖開始が 早かった回数 |
連鎖終了までの 逆転の回数 |
連鎖終了が 早かった回数 |
|
タワー | 20回 | 13回 | 33回 |
多連鎖 | 37回 | 24回 |
そもそも8試合というのはデータとして不十分で、1試合抜いたり加えたりするだけでも、だいぶ話が違ったりします。
……のですが、タワーの発火が遅いという点については、このように「タワーに不利な試合だけを勝手に抜く」というアレなことをしてもそうそう揺るがない程度には極端な結果で、「ちゃんと調べた場合にこれと全然違う結果になるということは、あまりなさそう」という印象を私が持っているのは、いちおうそういう感じです。
そんな感じで、平均速度、早い発火をした回数などを比べても……。
ちゃんと発火できた場合の 連鎖開始時間の平均 |
11秒以内に 発火した回数 |
12秒以内に 発火した回数 |
13秒以内に 発火した回数 |
14秒以内に 発火した回数 |
|
タワー | 16.1秒 | 0回 | 0回 | 1回 | 2回 |
多連鎖 | 14.5秒 | 4回 | 7回 | 18回 | 27回 |
仮に、「雪歩の潰しが12秒で飛んでくる」と仮定すれば、致死返しは、私のタワーでは一度できるかどうかですが、KIIGAさんの連鎖では7~18回くらいできる感じになります。
そんなこんなで、正直、十分な調査はできていないのですが、よほどのアレがない限り、発火はタワーのほうが遅いという結論は動かなさそうに思われます。
……といった感じで。
「タワーは多連鎖よりも発火が遅いけれど、消える時間の差によって、連鎖終了の速度では多連鎖と渡り合える」
というのは、おおむね一般的に通用する認識かなと思います。
このグラフと発言は、たぶん、そういうことを示しているのだと思います。
「多連鎖とくらべて致死2連鎖は、平均して連鎖開始が遅い」というのは、たぶん実際にそうです。
もしも「潰しに対して致死連鎖を返すゲーム」をするとしたら、ほかの人が連鎖を選んでいるのに自分だけタワーを選ぶと絶望的に勝ち目が薄く、そういった意味で「相性」が悪いと言えます。