「多連鎖とくらべて致死2連鎖は、平均して連鎖開始が遅い」について

前置き

  • このページには、ぷよm@s本編part35の内容が含まれております。
  • もしかしたら色々と引っかかるところがあるかもなのですけど、言葉のアヤみたいなのはなるべく大目に見ていただけると助かります。

前置き

part35の、Pの発言。

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これについて、「Pがタワーの方が遅いと言っているのは、実際にそうなのか」と友達に聞かれたので、いちおう、思うところを書いてみます。

前衛。グラフの長さのこと

この場面のPの話は、かなり説明を省いているように感じました。

(たぶん、1から10まで説明すると動画が長くなるので、10だけ説明している感じかなと想像しております)

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そこで、最初に触れておきたいのは、このグラフの「長さ」のことです。

画面を見る限りでは、「2連鎖」と「多連鎖」で、致死連鎖を完成する速度が「同時」になっているように見えます。


もしも仮に、グラフの長さが同じであることを重視するとしたら、Pの話は、次のような内容だと解釈されます。

  1. 2人のプレイヤーがいて、片方がタワー使いで、片方が4ダブ使いだとする
  2. 2人とも「平均18秒で致死連鎖が消え終わる」とする
  3. その場合、ぷよの消滅にかかる時間差から、「タワーは平均15秒台、4ダブは平均12秒台」くらいで発火している
  4. ゆえに、2人の「致死連鎖の発火までの平均速度」を比べると、タワーの方が遅い

つまり、「スタートから連鎖終了までの平均速度がほぼ同じになる2者の比較では、タワーのほうが発火が遅い」と述べているという解釈です。

ただ、この論には、あまり意味がないように思えます。

というのも、「スタートから連鎖終了までの平均速度がほぼ同じになる2者」で比較する意味が不明瞭だからです。

  • 初代ぷよでは、成績や勝敗が拮抗している2者でも、別に「スタートから連鎖終了までの平均速度」が拮抗しているわけではありません。

上記のように解釈した場合、Pの論には誤りがある(結論そのものは正しいかもしれないが、前提が間違っているか、前提と結論のつながりが間違っている)ように思います。


……というわけで、たぶん、このグラフの長さに、そこまでの意図はないと思います。

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グラフのどちらかが少し長いとしても、この話にはほとんど影響しないので、簡略化して同じ長さに書いている……というとらえ方で良いと思います。

(もしも片方を長くしてしまうと、タワーと連鎖の優劣を付けるようになるので、それを避けたのかもしれません)

本題。実際にそうなのか、予備調査程度の簡易的な検証

ということで、以下、グラフの長さが同じことには特に意味はない……という方向で進めてみます。

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すると、ちょっと拡大解釈になってしまうのですが、ここでPが述べているのは……。

「タワーはただでさえ消えるのが早くて有利なのに、発火自体もタワーのほうが早いっていうなら、いくらなんでもタワー強すぎじゃん。さすがに発火はタワーのが遅いでしょ」

……みたいな話だと、解釈できないこともなくなくないと思います。

ここで少し、Bぷよの実戦のデータを見てみます。

今年6月に観戦させていただいた、雨宮プロ(タワー)と電気イルカさん(多連鎖)の2回の野試合から、致死のタワーと多連鎖の打ち合いになった39本だけを見てみると、次のような結果になりました。

連鎖開始が
早かった回数
連鎖終了までの
逆転の回数
連鎖終了が
早かった回数
勝った回数
タワー 6回 17回 23回 23回
多連鎖 33回 16回 16回

8割以上の局面では、発火は多連鎖のほうが早かったです。

しかし、そのうちの半分ほどはタワーに追い抜かれてしまい、結局、最終的な勝敗は逆転されてしまっています。


それから、この39本のうちで「ちゃんと発火できたケースだけに限った平均速度」を見ると……。

ちゃんと発火できた回数 ちゃんと発火できた場合の
連鎖開始時間の平均
ちゃんと発火できた場合の
連鎖終了時間の平均
タワー 25回 14.8秒 17.9秒
多連鎖 36回 12.9秒 19.4秒

「ちゃんと発火できたケースだけに限った平均速度」という数字なので、かなり限定的な比較にしか使えないのですが……。

とりあえず、この39本に限って言えば、タワーのほうが発火が遅かったと言ってよいでしょう。


それから、そもそも今回は「雪歩の潰しに対して、致死連鎖を返してやる」というミッションの話なのですが……。

11秒以内に
発火した回数
12秒以内に
発火した回数
13秒以内に
発火した回数
14秒以内に
発火した回数
タワー 0回 0回 5回 9回
多連鎖 5回 11回 18回 28回

仮に、「雪歩の潰しが12秒で飛んでくる」と仮定すれば、この39本に限ると、タワーで致死を返せるのは0~5回程度なのに、連鎖なら11~18回。

この39本に限って言えば、今回のミッションには、タワーよりも多連鎖のほうが「相性」が良さそうに思えます。


もちろん、ちゃんとした結論を出すにはデータ量が少なすぎますし、けっこう色々なことを無視しています。

ただ、かなり極端な差が出ているので、「もっと厳密に調べたら、これと全然違う結果になる」ということは、あまりなさそうな気はしております(いい加減で申し訳ないですけど)。

さて、雨宮さんたちはトップクラスのプレイヤーなので、Cランクくらいのプレイヤーでも見てみたいと思います。

というわけで、私(たわー勢)とKIIGAさん(主に千早式)の最近の対戦8試合(計125本)のうち、タワーと多連鎖の勝負っぽくなった67本を見てみると……。

連鎖開始が
早かった回数
連鎖終了までの
逆転の回数
連鎖終了が
早かった回数
タワー 20回 14回 34回
多連鎖 47回 33回

いちおう、この8試合は、タワー側(私)の7勝1敗。勝ち星のトータルは73-52(10先でタワー側が8割近く勝つ感じ)で、つまり全体としてはタワー側が良いのですが、それでもやはり、「連鎖開始はタワーのほうが遅い」ようです。

かなり蛇足になるのですが、このうちの1試合でKIIGAさんが素晴らしい集中力を見せて、10手5連鎖・11手5連鎖×2・12手5連鎖・13手5連鎖×3・14手5連鎖×2・14手2連鎖クアで、私は3-10でボッコボコにされました(平均発火速度12.1秒程度)。

それで、もしもその1試合を除いた7試合(タワー側が勝った7試合だけ)の結果にすると、次のような表になります。

連鎖開始が
早かった回数
連鎖終了までの
逆転の回数
連鎖終了が
早かった回数
タワー 20回 13回 33回
多連鎖 37回 24回

そもそも8試合というのはデータとして不十分で、1試合抜いたり加えたりするだけでも、だいぶ話が違ったりします。

……のですが、タワーの発火が遅いという点については、このように「タワーに不利な試合だけを勝手に抜く」というアレなことをしてもそうそう揺るがない程度には極端な結果で、「ちゃんと調べた場合にこれと全然違う結果になるということは、あまりなさそう」という印象を私が持っているのは、いちおうそういう感じです。

そんな感じで、平均速度、早い発火をした回数などを比べても……。

ちゃんと発火できた場合の
連鎖開始時間の平均
11秒以内に
発火した回数
12秒以内に
発火した回数
13秒以内に
発火した回数
14秒以内に
発火した回数
タワー 16.1秒 0回 0回 1回 2回
多連鎖 14.5秒 4回 7回 18回 27回

仮に、「雪歩の潰しが12秒で飛んでくる」と仮定すれば、致死返しは、私のタワーでは一度できるかどうかですが、KIIGAさんの連鎖では7~18回くらいできる感じになります。

そんなこんなで、正直、十分な調査はできていないのですが、よほどのアレがない限り、発火はタワーのほうが遅いという結論は動かなさそうに思われます。

……といった感じで。

「タワーは多連鎖よりも発火が遅いけれど、消える時間の差によって、連鎖終了の速度では多連鎖と渡り合える」

というのは、おおむね一般的に通用する認識かなと思います。

表

このグラフと発言は、たぶん、そういうことを示しているのだと思います。

「多連鎖とくらべて致死2連鎖は、平均して連鎖開始が遅い」というのは、たぶん実際にそうです。

もしも「潰しに対して致死連鎖を返すゲーム」をするとしたら、ほかの人が連鎖を選んでいるのに自分だけタワーを選ぶと絶望的に勝ち目が薄く、そういった意味で「相性」が悪いと言えます。

わりと余計な私的メモ

  • なので、早い2ダブとかを打たれた場合には、タワー側は相手よりも多い量を返して、有利な堀り合いで勝つ……というのが基本的な勝ち筋になると思います。このため、「ある程度有利な堀り合いでも堀り負ける相手」に雪歩戦術をされたら負け越すことを、わたくし、大変よく知っております。Bぷよのレートでいうと、たとえば1500~1700くらいのどこかにソレがらみの壁があって、とりあえずQBさんに勝てないと1600超えに安定できない気がいたします。きゅっぷい。
  • (早い2ダブを打たれた場合、「A.相手よりも多く返して有利な堀合」「B.うまく返せなくて互角or不利な堀合」「C.発火色を引けず潰れて負け」といった展開に分かれますが、とりあえず「有利な堀合」で勝ち越せないことには話になりません。それを前提として、なるべくCの確率を下げて、Aになりやすい組み方・立ち回りを……とかは本編で小鳥さんが言っている通りで、ここに私が書けるようなことではなかったので以下略。タワー側の感覚としては、「堀り合いには付き合ってやる。ただし、ハンデはもらうぞ」みたいな気分かなと思います)

  • 件のグラフについては、演繹的な理屈を図示したグラフなのか、帰納的なデータをまとめたイメージのグラフなのかが私にはわからなくて、今回、それぞれの解釈で書くような形をとりました。その上で、前者だとすると妥当性に欠けるので、後者と見るべき……という感じにゴニョっております。
  • また、「デスタワーは、消える時間が短いという点に大きなメリットがあるのに、潰しへの対応という局面では、そのメリットがあまり生きないという意味で、『相性』が発生している」というのが骨子で、連鎖との比較になっていることは実は重要ではない……という解釈もけっこうアリだと個人的には思うのですが、その見方はあまりにも本編の説明から逸脱するので省きました。
  • このページで発火速度の「平均」について述べていますが、そもそも、初代ぷよの対戦では、まっとうな致死連鎖の打ち合いにならない局面の割合もかなり高く、今回、かなり無理のある「平均」という概念の使い方をしております。
  • このページで「発火速度」としているのは、いちおう「最後のぷよの設置」を基準にしています。潰しへの対応発火としては、「最後のぷよの引き」さえ間に合えば良いので、「12秒で飛んでくる潰し」に「12秒台」の発火で間に合うことも多い……みたいな感じでアバウトにしています。